PADI2(Peptidyl arginine deiminase 2)はタンパク質のアルギニン残基をシトルリン残基へ変換する酵素である。正常な大腸上皮組織で高発現する一方、がん組織と大腸がん由来の細胞株では発現量が低下していた。PADI2を安定に過剰発現する大腸がん細胞株は、PADI2を発現しない細胞に比べて増殖能が低下した。増殖の遅延は、酵素活性のないPADI2変異体を発現した細胞では見られないことから、PADI2による基質タンパク質のシトルリン化が細胞の増殖を抑制すると考えられた。またPADI2を高発現する大腸の正常組織にはシトルリン化タンパク質が存在することが明らかになった。
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