研究成果の概要 |
膵臓癌は早期発見困難であり手術ではなく化学療法で治療されることが多いがその効果は限定的である. その理由として薬剤の効果がどれくらいか投与しないと分からないことが挙げられる. 今回膵腫瘍生検検体から個々の患者から膵臓癌細胞株をオルガノイド培養法という培養方法で高率に樹立, 体外培養することに成功し, 実際に臨床で投与する薬剤の感受性と臨床の腫瘍縮小率を比較した. 膵癌化学療法の第一選択レジメンの治療法Aに含まれる薬剤Bが腫瘍縮小率とよく相関していることが分かり, 効果予測することができることが示唆された.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまで患者組織検体を用いた膵臓癌体外培養の成功率は数%程度であったが, オルガノイド培養法により80%以上にまで効率が上がった. この技術を応用して薬剤感受性試験を効率的かつ正確に行う手法を確立することに成功した. 更に実際に化学療法が施行され且つCT評価がなされた症例を集積・解析したところ, 膵臓癌化学療法の第一選択の一つである治療法Aで用いられている薬剤Bのin vitro感受性と臨床腫瘍縮小率との間に強い相関性が認められ, 薬剤Bの薬剤感受性試験は実際の化学療法の効果予測となることが示唆された.
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