研究実績の概要 |
ETBRが高い親和性を保持しているET-1の8-21残基のペプチドに相当するペプチド N-acetyl-[Ala11,15]ET-1(8-21) を基礎として、各アミノ酸をアラニンに変換したペプチド11種類を調製して、3量体Giタンパク質の活性化能を測定した。評価系には、昆虫細胞から発現精製したETBRと組み換えapo-A1、リン脂質からなるナノディスク、過剰の3量体Giタンパク質を再構成させたシステムを用いた。この結果、D8, F14, I20の変異は、Gi活性化のpotency を著しく低下させ、Y13, L17, D18の変異は、efficacyを60%程度に低下させた。 ET-1のC末領域は膜貫通領域における水分子の水素結合ネットワークの再構築によって、活性型構造を誘導する一方、ヘリカル領域にあるD8はリガンド結合親和性に重要であり、Y13,F14も活性化のpotencyやefficacyに大きく影響することが明らかとなった。 さらに、これらの側鎖と相互作用するETB受容体側の残基の変異体解析を行った。この結果、受容体のN末テールの膜近傍領域やヘリックス7の細胞外近傍領域とアゴニストとの相互作用が受容体の活性化に重要であることが明らかとなった。また、ヘリックス6の相互作用残基の二重変異体は親和性を大きく低下させ、結合性に影響するこちが判明した。これらのリガンド―受容体間の相互作用の役割は、今後の新たなアゴニスト設計に重要な情報となる。
|