研究課題
計画書の段階で、①エクソームからのコピー数探索、②ミトコンドリアDNA(mtDNA)解析、③候補変異の迅速な機能解析スクリーニング法開発、④エクソーム補完リシーケンス法の改良、の4つを計画していた。このうち、①のコピー数探索については、Exome Depth、XHMM、CoNIFER等、何種かのコピー数多型検出プログラムを実データに適用し、一部検体にてエクソームデータから疾患原因変異の同定も行うことができた。そのCNVについてはCGH arrayにてvalidation実験を行い確かに存在することが確認された。②のmtDNA解析についても、エクソームデータから高精度にmtDNA変異を検出できるパイプラインの基本構造の構築ができ、読み深度の差こそあれmtDNAの全長の全塩基でエクソームデータからシーケンスを得ることに成功した。実際にいくつかの検体でポジティブコントロールとなる既知のmtDNA変異の同定ができることも確認でき、サンガーシーケンスでも確認実験を行った。③は機能解析候補変異の絞り込みまで行った。実際の機能解析は来年度に実施予定である。④は最新データベース情報(ヒトリファレンスゲノム最新build38情報およびそのbuildに基づく最新タンパク質コード遺伝子情報)を収集し、その遺伝子情報に基づくエクソーム補完用のプローブ設計を行った。過去の3世代にわたるエクソームキャプチャープローブ(SureSelectのバージョンV4、V5、V6)の全てに対応させ、最大で98~99%程度のタンパク質コード領域をカバーできると推測される。プローブの合成まで完了済で、次年度に実際のシーケンス実験試験予定となっている。
2: おおむね順調に進展している
一部は計画予定以上の早さで進んでいるが、概ね計画に沿って順調に推移しているため。
上記4つの研究項目、①エクソームからのコピー数探索、②mtDNA解析、③候補変異の迅速な機能解析スクリーニング法開発、④エクソーム補完リシーケンス法の改良、について以下の予定となっている。①のコピー数探索については、今後さらに最適アルゴリズムの検討を続ける。②のmtDNA解析については、構築したパイプラインについて今後、精度検証をすると共に、実データに順次適用し、疾患原因変異探索を行う。③は有力な疾患原因候補変異について機能解析を始める予定。④は最新データベース情報に基づいて設計したエクソーム補完プローブを用いて実際のシーケンスを実施し、改良によるexon領域の読み深度の向上の確認と疾患原因変異探索を平行して行う予定である。
当初の予定より試薬代が値引きされ残予算が生じたため。また、計画していた疾患原因候補変異の機能解析実験を次年度に持ち越したため。
計画書に記載の疾患原因候補変異の機能解析実験を実施する際に使用し、また余剰分が生じた場合は、アルゴリズムの精度検証実験数を増やすことでより正確に精度を検証できるようになるためそちらに予算を振り分ける。
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