研究課題
本研究の目的は次世代シーケンサーを用いたエクソーム解析の疾患原因変異探索において、約70%と言われる未同定変異を探索する手法を解析し、実際に原因変異を同定するものである。計画書の段階で複数手法の実施予定を挙げたが、それらを進めると共に、以下のように予定以上の実績を残した。1) コピー数変異(CNV)探索について、多数の方法を試行し各手法ごとに異なるCNVがcallされること、故にcallが複数手法で一致する積集合ではなくいずれかの手法でcallされた和集合のCNVの中から探索することで疾患変異の偽陰性を少なくできること、そして実際に複数の家系で疾患原因変異を同定することにも成功した。2) 複数のエクソームプラットフォームを解析し、mtDNAが大部分のプラットフォームで非選択的mtDNAの混入により全領域シーケンスされていること、しかしPCRベースの手法の場合にはmtDNAがほぼ全く読まれていないことが明らかになった。mtDNAのheteroplasmyの率が次世代シーケンスのアレル頻度と良く相関していることをデジタルPCRでの検証と合わせて確認することができ、エクソーム解析でmtDNA解析が可能であることを実証した。3) 迅速な機能解析スクリーニング法は、マウスや細胞を用いる実験は未だ大きな時間がかかるため、各種予測ソフトのモデルと既知アノテーション情報を統合することで、多数の候補変異からより精度高く候補変異を絞り込む手法を構築した。4) 通常ではcallが難しい1万bp程度までの長いindelのcall手法を開発し論文化公表した。5) エクソーム補完リシーケンスの改良も行ったが、さらに網羅性の高い全ゲノムシーケンス(WGS)の検討を行い、エクソーム解析よりもエクソン領域のカバー率すらWGSが凌駕していること、CNV解析にもWGSが優位であること、等を明らかとした。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
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