研究実績の概要 |
ヘムオキシゲナーゼ(HO)は、生体内で代謝的にCOを生成する唯一の酵素であり、内因性のCOの大部分は、HO反応によって生成される。一方で過剰のCO生成は生体毒となるため、COの発生源であるHOの活性は厳密に制御されていると考えられるが、その詳細は明らかではない。一方、HOはこれまで小胞体膜結合型酵素として知られていたが、我々のこれまでの研究では、カベオラや核内にも存在することが明らかになり、その細胞内寿命は各局在によって異なることが考えられた。今回、HO1とHO2およびその膜貫通領域を排除した可溶型酵素のcDNAをpcDNA31にサブクローニングし、A549, NIH3T3, PC3, HEK293T, renal cellにトランスフェクトし、各種誘導剤を用いて、その細胞局在について検討した。その結果、Rat renal cellをCo-PPXで刺激した場合にはミトコンドリアに、A549、PC3をheminで刺激した場合には、それぞれミトコンドリア、細胞質、核に局在することが明らかになった。また、NIH3T3をhypoxiaで刺激すると核に優先的に局在することを明らかにした。さらに、マウス腹膜マクロファージをLPSで刺激すると、HOはカベオラに優先的に局在することを明らかにした。一方、前年度までに我々は、HOが高度にユビキチン化されることを明らかにしていた。そこで今回、HCT116をプロテアソーム阻害剤であるボルテゾミブで処理すると、HO1のLys39, Lys69, Lys86, Lys148, Lys153, Lys243がユビキチン化されることを質量分析によるペプチドマッピングによって同定した。
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