研究実績の概要 |
ヘムオキシゲナーゼ(HO)は、生体内で代謝的にCOを発生する酵素として知られているが、過剰のCO生成は生体毒となるため、HO活性は厳密に制御されていると考えられる。これまでHOは、ミクロソーム酵素として知られていたが、前年までも研究結果において、各種刺激(Hemin, Hypoxia, LPS)によって、ミトコンドリア、核、カベオラなど、種々の細胞内小器官に局在することが明らかになった。今年度は、核に移行したHOの翻訳後修飾に着目して研究を進めた。核に移行するタンパク質の多くは、リジン残基がアセチル化されることが知られている。そこで、NIH3T3をHypoxiaで刺激した後、免疫沈降法によってHO-1を単離し、Peptide-Mass-Fingerprinting法を行った。その結果、Lys243とLys256がアセチル化されていることが明らかになった。さらに、核に局在するHO-1は膜結合部分が排除されていることも確認された。HEK293細胞にHO-1とp300, CREB-biding protein(CBP)をトランスフェクトし、HO-1特異的抗体で免疫沈降すると、p300, CREB-biding protein(CBP)が共沈してくることを明らかにした。逆にP300, p300, CREB-biding protein(CBP)の特異的抗体で免疫沈降すると、HO-1が共沈してくることも併せて確認された。Lys243は、前年までの研究結果において、ユビキチン化される残基でもあり、この残基を変異させたHO-1を作成し、その機能について検討中である。
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