研究課題
ヘムオキシゲナーゼ(HO)は、生体内でヘムを分解して代謝的にCOを発生する酵素として知られているが、過剰のCO生成は生体毒となるため、HO活性は厳密に制御されていると考えられる。本課題においては、その活性制御の鍵となる翻訳後修飾を探ることを目的としている。これまでHOは、ミクロソーム酵素として知られていたが、前年までも研究結果において、各種刺激によって、ミトコンドリア、核、カベオラなど、種々の細胞内小器官に局在することが明らかになった。今年度は、特に核に移行したHOの翻訳後修飾に着目して研究を進めた。A549細胞、およびNIH3T3細胞をHypoxiaで刺激した後、免疫沈降法によってHO-1を単離し、Peptide-Mass-Fingerprinting法によるMS解析を行った。その結果、核に局在するHO-1は膜結合部分が完全に排除されていることが確認された。MS/MS解析によって詳細な配列解析を行った結果、Ser275とPhe276のアミノ酸間で切断されていることが明らかになった。そこで、この部分の点変異体(S275A, F276L)を作成した。この変異体をA549細胞にトランスフェクトし、Hypoxiaで刺激した後、HO-1の局在を調べた結果、核内への局在は観測されなかった。また、昨年度同定した核内局在HOのアセチル化部位であるLys243とLys256の変異体(K243A, K256A)を作成し、その性質を調べた結果、野生型よりも細胞内寿命が長くなることが確認された。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (7件)
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