研究課題
日本に生息するサシチョウバエ(双翅目、チョウバエ科)は、Sergentomyia squamirostris, Newstead 1923唯一種であり、青森、群馬、京都、愛媛、山口、福岡の6県のみで生息が確認されていた。本研究により、S. squamirostrisは北海道を除く本州、四国、九州、沖縄に広く分布することが明らかとなり、その生息環境は日の当たる林道沿いであることが確認された。サシチョウバエの発生は気温が安定的に20℃を超える6月から9月であり、また吸血源解析により、爬虫類に対しての嗜好性が強いことが示された。voltage-sensitive sodium channel遺伝子のintron解析により、種内に多様性が認められた。南西諸島においては、S. squamirostrisと形態学的に異なる種の存在が明らかとなり(北は鹿児島県屋久島から南は沖縄県西表において)、生息環境比較調査により好適生息域は原生的照葉樹林であることが示唆された。沖縄県西表島からわずか200kmの台湾に生息するSergentomyia属サシチョウバエ3種とCytochrome b遺伝子をターゲットとした分子系統解析の結果、南西諸島に生息する種とは異なる結果となった。5月から10月に亘り北九州日本海側、高さ12mmに常時設置したネットトラップ調査では、3年間に亘りサシチョウバエが採集されなかったことから、サシチョウバエがジェット気流等にのり海外より飛来する可能性はないと考えられた。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)
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巻: 13 ページ: e0007235
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