ミナミカワトンボ科Euphaea属のオスの交尾器は,先端部から左右に突出する翼状構造を有する.翼状構造はスリット状の膜構造で,一方の先端部を赤インクに触れさせると,インクがスリット内に吸引される.左右の翼状構造は中央部で連結しており,片方から他方へも吸引される.メスの精子を蓄える器官は左右非対称であり,オスの交尾器の左側の翼状突起から既交尾オスの精液が吸引される可能性が高い.野外でメスを見つけることは難しく,現時点では少数例の観察に基づいているが,確かにオス自身の射精が起こる前に交尾を中断させると,メスの精子貯蔵器官内の精液量が減少した.
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