東京湾奥部の埋立地に造成した大規模な塩性湿地クリークで、環境変量と魚類・底生無脊椎動物の群集構造の経時的変遷を調べた。クリーク造成後の3年間で、絶滅危惧種や水産有用種を含む魚類27種と底生無脊椎動物35種以上(主に多毛類、カニ類、エビ類)が出現した。造成クリークでの魚類の種数や個体数、種組成といった群集構造と優占種数種の体サイズにおける季節変化は、天然塩性湿地クリークで認められる傾向と似ていた。本研究の結果から、大都市圏の埋立地に造成された大規模クリークが塩性湿地生物群集の回復において重要な役割を果たす可能性があることが示された。
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