研究実績の概要 |
青森県内の灰色低地土のリンゴ園(青森県藤崎町)と褐色森林土のリンゴ園(青森県弘前市)において土壌断面調査を行い、深度10, 30, 50, 70, 90, 100 cmより攪乱土と不撹乱土壌を採取すると同時に、土壌間隙水を採水するための採水管を埋設した。採取した土壌試料の透水性・保水性・粒度等の土壌物理性を測定することで、リンゴ園における土壌物理性の鉛直プロファイルを作成した。また、土壌中の無機態窒素含量、交換性陽イオン含量、陽イオン交換容量およびリン酸吸収係数等の土壌化学性も測定し、物理性と同様の鉛直プロファイルを作成することで傾向を把握した。さらに、各深度から採取した土壌試料を用いて、無機態窒素に関する吸着試験をバッチ法により行い、吸着等線を作成することで、固相―液相における無機態窒素の吸着特性を把握した。これらの検討を行うことにより、リンゴ園土壌における無機態窒素の溶脱量を算定するための数値解析に使用する各種パラメータを整備することができた。 両圃場において、体積含水率・電気伝導率・地温を計測するための土壌センサー(5TE, DECAGON)を任意の深度に埋設し、体積含水率・電気伝導率および地温の同時連続計測を行っている状況にある。なお、土壌センサーによる体積含水率および電気伝導率は、現地で採取した試料を用いて校正済みである。積雪深が1mを超える冬期において、一時的に諸量を測定できないトラブルに見舞われたものの、ほぼ全期間の土壌環境観測データを得ることができたため、土壌間隙水の水質測定結果と数値解析結果との整合性を検証するための検討材料を確保することができた。
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