研究実績の概要 |
青森県内の黒ボク土のリンゴ園地(青森県鶴田町)の深度4, 8, 16, 32, 64, 100cmの6深度(採水管埋設深度)から撹乱土を採取し、陽イオン交換容量およびリン酸吸収係数の土壌化学性を把握した。さらに、各深度から採取した土壌試料を用いて、無機態窒素に関する吸着試験をバッチ法により行い、吸着等線を作成することで、固相―液相における無機態窒素の吸着特性を把握した。このことを受け、灰色低地土・褐色森林土・黒ボク土の3種類の土壌型の調査対象リンゴ園地から溶脱する無機態窒素量を数値解析的に把握するための各種パラメータを整備できた。また、前年度より、当リンゴ園地の採水管埋設深度における体積含水率・バルク電気伝導率・地温を土壌センサー(5TE, DECAGON)により観測するとともに、隔週で当該深度より土壌間隙水を採取し、各種陰陽イオンの濃度をイオンクロマトグラフ法により定量した。今年度は、特に、融雪時期における硝酸態窒素の溶脱挙動に着眼し、体積含水率、間隙水電気伝導率および硝酸態窒素濃度の実測値を用いることにより、改良した数理モデルの検証を行った。土壌センサーを用いた電気伝導率等の諸観測と各種陰陽イオン濃度定量結果からは、融雪期間中において短期間のうちに各イオン種が一挙に溶脱することが明らかになった。また、数理モデルの検証結果からは、土壌間隙水の硝酸態窒素濃度の実測値と計算値が非常に良く一致し、融雪期間中の硝酸態窒素の溶脱挙動を精度良く推定することができた。
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