研究課題/領域番号 |
16K08160
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
山田 耕平 金沢大学, 薬学系, 助教 (40583232)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | トリアジン / 光反応 / ラジカル |
研究実績の概要 |
申請者らはトリアジニルアンモニウム塩のトリアジニルアミン部位が優れた脱離能を有することを利用して、数種の反応・反応剤を開発している。これらはアミノ基をトリアジニルアンモニオ基へと変換し活性化することでC-N結合を切断しており、アミノ基を優れた脱離基に変換する有用な手法であると言える。しかしながらこの優れた脱離能は極性反応(ヘテロリシス)にのみ展開しており、ホモリシスへの応用は未開拓である。本課題では、トリアジニルアンモニウム塩の光励起により選択的にラジカル開裂する手法の開発を目標とする。
前年に引き続き、トリアジン環上の置換基効果を検討した。その結果、一部の置換基において、効率的に反応が進行することが分かった。また、アミン上に置換基に関しても検討を行った結果、一部の構造が反応の進行に不可欠であることが明らかとなった。また水系溶媒で反応を行うことで、劇的に反応が加速した。しかし、UVを用いた反応では基質の適用の限界があることが明らかになった。そこで、より実用的なラジカル発生法へと導くために、光レドックス触媒を用いた可視光によるラジカル反応の検討を行った。その結果、ある種の光レドックス触媒存在下、可視光で効率的にラジカルが発生することが見出された。今後は、反応条件の検討(溶媒条件、トリアジニルアンモニウム塩構造の最適化、励起波長の最適化)と基質の適用範囲の決定、反応機構の推察を行うことで本反応の有用性を示し、論文提出を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概要に記載した通り、交付申請書に記載したUV励起によるラジカル発生法には基質の限界が明らかになった一方で、より温和な条件である可視光によるラジカル発生法が見出されたため、研究は順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
ラジカル発生条件は変更したが、行うべき研究の事柄は大きな変更はないので、今後も計画書に記載した通り行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究室にストックされている試薬を活用することで、当初予定していた反応剤の原料や反応基質の購入が抑えられたため。 使用計画 光レドックス触媒の購入や最終的な基質検討の際に、多種多様な化合物の購入が必要であるため、これに使用する。
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