研究課題/領域番号 |
16K08199
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
石川 吉伸 静岡県立大学, 薬学部, 准教授 (00305004)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ハロゲン結合 / ウレアーゼ / 阻害剤 / 結晶構造解析 / 計算化学 |
研究実績の概要 |
本研究では、強いハロゲン結合形成能とウレアーゼ阻害能を示すハロゲン化クロモンの開発とその構造活性相関解析という目的を達成するため、そのドラッグデザインと合成、単結晶化、X線結晶構造解析、ウレアーゼ阻害能の評価,量子化学計算、分子ドッキングによる相互作用解析等を行うことを目標としている。 6位と8位の両方にClあるいはBr原子を持つ6,8-ジハロゲノ-3-ホルミルクロモンが強くウレアーゼを阻害すること、一方、8位にハロゲン原子をもたない6-ハロゲノ-3-ホルミルクロモンはウレアーゼを阻害しないことが報告されている。 ハロゲン結合の強さはF << Cl < Br < Iの順で大きくなり、ハロゲン結合のドナーハロゲン原子の近位に電子吸引性置換基効果が大きいフッ素が存在すると正電荷が大きくなることでハロゲン結合が増強する。平成28年度においては、プレートリーダーを用いたウレアーゼ阻害のアッセイ系を構築し,結晶構造が明らかとなっている15種類の化合物についてウレアーゼ阻害能を評価した。平成29年度では,さらに結晶構造が明らかとなっている6種類の化合物についてウレアーゼ阻害能を評価した。また、合成したハロゲノ-3-ホルミルクロモンについて量子化学計算を行い、その静電ポテンシャルマップから、X線結晶構造において観測されるハロゲノ-3-ホルミルクロモンのハロゲン結合形成能は、ハロゲン原子の表面の正電荷の大きさと相関があることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度の研究計画をおおむね遂行できているため。
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今後の研究の推進方策 |
合成している他の6,8-ジハロゲノ-3-ホルミルクロモンの阻害活性を測定する。また分子ドッキングによる相互作用解析を行う。さらに、ハロゲン化クロモン骨格をハロゲン化キナゾリン骨格に、ホルミル基をウレアーゼの基質である尿素が含むカルバモイル基に置換した化合物は、ハロゲン結合との相加的あるいは相乗的な効果により強くウレアーゼに結合し阻害することが期待できるので、既報に準じ,ハロゲン化オキサジノンを尿素と200度で溶融させることで目的物を得、これらのウレアーゼ阻害活性を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当予算によりコンピューターの導入を予定していたが,別予算により導入したために次年度使用額が生じた。 コンピュータの導入予算として使用する見込みである。
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