研究課題
small interfering RNA (siRNA)医薬は、アンドラッガブルとされているタンパク質を治療標的とすることが可能であり、アンメットメディカルニーズ疾患に対する医薬品シーズとして期待が高い。しかし、siRNAは生体内で容易に分解されるうえ、細胞膜透過性が乏しために、DDSの開発が必須である。本研究では、siRNAを標的細胞に送達するだけにとどまらず、到達したsiRNAが効率的にRNA干渉を引き起こすための仕組みを付与した高機能化脂質ナノ粒子を開発する。本目的を達成するため、我々は既承認薬であるverteporfinのオートファジー阻害作用に着目した。本年度は、verteporfinのオートファジー阻害作用とそれによるArgonaute2(Ago2)タンパク質の発現増加作用について検討した。さらに、verteporfin処理によるRNA干渉増強作用についても検討を行った。MDA-MB-231細胞ヒト乳がんにverteporfinを作用させたところ、Ago2タンパク質の発現が上昇した一方で、オートファジーマーカーのlight chain 3 (LC3)タンパク質の減少が認められた。verteporfinのオートファジー阻害作用を介してAgo2タンパク質の発現上昇が生じることが示唆された。Plk1タンパク質を標的とするsiRNAを封入した脂質ナノ粒子を調製し、verteporfinのRNA干渉促進作用について検討した。その結果、siPlk1単独群と比較し、siPlk1とverteporfinの併用群では有意に高い遺伝子発現抑制効果が観察された。以上の結果より、verteporfinは、オートファジーの阻害を介してRNA干渉増強作用を示すことが示唆された。今後、併用の効果をより詳細に解析し、RNA干渉増強作用をもつ高機能化脂質ナノ粒子の開発に繋げる予定である。
2: おおむね順調に進展している
申請書に記載した年次計画に沿って研究が進行しているため。
当初の計画に沿って研究を推進する予定である。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 5件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
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http://w3pharm.u-shizuoka-ken.ac.jp/radiobio/mbc/Home.html