研究課題
small interfering RNA (siRNA)薬は、アンドラッガブルとされているタンパク質を治療標的とすることが可能であり、アンメットメディカルニーズ疾患の治療への応用が期待されている。しかし、siRNAは生体内で容易に分解されるうえ、細胞膜透過性が乏しいために、drug delivery system(DDS)の開発が不可欠である。本研究では、siRNAを治療標的細胞に送達するだけにとどまらず、到達したsiRNAが効率的にRNA干渉を引き起こすための仕組みを付与した高機能化脂質ナノ粒子の開発を目指した。既承認薬であるverteporfinのオートファジー阻害作用とargonaute2タンパク質(AGO2)の発現亢進作用に着目し、verteporfinを含有する脂質ナノ粒子のsiRNAデリバリーへの応用を図った。最終年度は、verteporfin 処理によるAGO2量増大に伴うRNA-induced silencing complex (RISC)形成に関して検討を行った。AGO2に対して免疫沈降反応を行い、AGO2に結合したsiRNAの量を定量したところ、verteporfin存在下で有意に増加することが明らかになった。verteporfinを含有する脂質ナノ粒子を調製し、RNA干渉試験を実施したところ、verteporfin不含の脂質ナノ粒子と比較して有意に高い遺伝子サイレンシング効果が観察された。昨年度までに明らかにしてきたverteporfinのRNA干渉増強作用が、siRNAが効率的にRISCに取り込まれた結果であることが強く示唆された。本研究で得られた成果は、RNA干渉増強作用をもつ高機能化脂質ナノ粒子の開発に繋がるものと考えられる。
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