研究課題/領域番号 |
16K08265
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研究機関 | 岐阜薬科大学 |
研究代表者 |
塩田 倫史 岐阜薬科大学, 薬学部, 准教授 (00374950)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | グアニン四重鎖 / 神経細胞 / RNA-G4 構造/タンパク質複合体 / 遺伝性神経変性疾患 |
研究実績の概要 |
グアニン四重鎖構造(G-Quadruplex; G4 構造)は、グアニンが豊富な配列領域で、1 本鎖 DNA もしくは RNA が形成する特殊な高次構造の 1 つである。近年のゲノムワイドな解析により、特定の遺伝子の転写・翻訳において生理的に重要な役割を果たすことが示唆されている。病態においては、特定の DNA グアニンリッチ配列異常反復伸長から形成される RNA-G4 構造が数種の RNA 結合タンパク質と凝集体を形成し、ALS/FTD や FXTAS 等遺伝性神経変性疾患の病態に関与することが示唆されている。本研究の目的は未だ明らかにされていない RNA-G4 構造/タンパク質複合体の神経細胞における動態と構成成分を解析することにより、G4 構造が関与する ALS/FTD や FXTAS 等遺伝性神経変性疾患におけるRNA-G4 構造/タンパク質の異常凝集機構を解明することである。本年度はファージディスプレイ法により得られた G4 構造認識単鎖可変領域フラグメント single chain Fv (G4-scFv) にテトラシステインモチーフを挿入した哺乳類発現プラスミドを作製し、FlAsH を用いて生細胞の G4 構造可視化に成功した。また、G4-scFv を利用して免疫沈降を行い、マウス脳組織における RNA-G4 構造/タンパク質複合体の RNA 構成成分を RNA-seq で同定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
生細胞での G4 構造可視化に成功したのは世界初の成果である。また、RNA-G4 構造/タンパク質複合体の RNA 構成成分には既知分子だけでなく新規分子も含まれていた。これらの分子の細胞内における役割を解析することで、G4 構造が関与する神経疾患における病態解明に寄与する可能性がある。
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今後の研究の推進方策 |
1) G4-scFv を利用して免疫沈降を行い、マウス脳組織における RNA-G4 構造/タンパク質複合体のタンパク質構成成分を LC/MS/MS で同定する。 2) G4-scFv に miniSOG を付加し、光照射分子不活性化法(Chromophore-assisted light inactivation; CALI 法)により一重項酸素ラジカルを RNA-G4 構造/タンパク質複合体に発生させ、不活性化することによる培養神経細胞の機能的・形態的変化を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の実施が予想よりも低コストで可能であったため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の実験計画は今年度よりも実験コストがかかることが予想される。よって、今年度生じた次年度使用額は次年度で使用する。
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