研究課題
これまで、グアニン四重鎖構造認識単鎖可変領域フラグメント (BG4-scFv) を用いて生細胞のグアニン四重鎖構造の可視化に成功した。このグアニン四重鎖認識 scFv に FLAG タグを付加し哺乳類発現プラスミドでマウス神経芽細胞腫 Neuro-2a に発現させたところ、細胞核内に DNA 上のグアニン四重鎖として微小な粒子が観察され、さらに細胞質には RNA グアニン四重鎖構造/蛋白質複合体である比較的大きな顆粒が観察された。これらは、 DNase や RNase 処置によりそれぞれ消失することを確認できた。また、グアニン四重鎖構造の細胞内動態を生細胞観察するために EGFP を付加したが、構造変化が起こりグアニン四重鎖構造を正確に認識することができなかった。そのため、6 残基のアミノ酸 Cys-Cys-Pro-Gly-Cys-Cys 配列のテトラシステイン(TC)モチーフを挿入し、TC モチーフと結合し緑色蛍光を発する FlAsH を用いたところ、生細胞のグアニン四重鎖構造可視化に成功した。さらに、BG4-scFv によるマウス脳組織由来免疫沈降物に対して次世代 RNA シーケンサーと LC-MS/MS ショットガン解析を行い、マウス脳内のグアニン四重鎖構造/蛋白質複合体の構成成分を同定した。それら複合体には、これまでに報告がない新規グアニン四重鎖形成 mRNA 及び結合蛋白質が数種含まれていた。BG4-scFv を用いることで、グアニン四重鎖の細胞内局在や構成成分を明らかにできた。今後、人為的にグアニン四重鎖を酸化することで、マウス脳神経にどのような影響を及ぼすか検討する。
2: おおむね順調に進展している
今年度は、グアニン四重鎖の細胞内局在や構成成分を網羅的に明らかにできた。さらに、そのリストの蛋白質のひとつにおいてグアニン四重鎖との結合が確認できた。
グアニン四重鎖と神経細胞障害との関与について検討することができる準備ができた。リストアップされた RNA グアニン四重鎖構造/蛋白質複合体の構成成分と脳神経における病態との関与を詳細に検討していく。
概ね研究が順調に進んでおり、消耗品費が少額で済んだため。次段階の実験における研究費として使用する。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 2件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件) 産業財産権 (1件)
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