研究課題
基盤研究(C)
本研究では、皮膚感作性物質による皮膚免疫毒性発現における異物代謝酵素の役割を解析することを目指した。ヒト皮膚角化細胞HaCaTに対して種々レポーター遺伝子を導入し、その有用性を評価した結果、HaCaT-Nrf2-Luc細胞が免疫毒性を反映していることが示された。この細胞を使って皮膚感作性物質による免疫毒性発現における異物代謝酵素の役割を解析したところ、ある種の皮膚感作性物質はHaCaT細胞内に発現しているP450酵素により活性化/解毒され、その免疫毒性が変化することが示された。
分子毒性学
本研究によって、皮膚細胞内に発現している異物代謝酵素が化学物質の免疫毒性発現に重要な役割を果たしていることが示された。本研究結果は、より高精度な iv vitro 免疫毒性試験(動物を使用しない試験)の確立に繋がる。また、本研究をさらに発展させることにより、異物代謝酵素の遺伝子多型によって起こるであろう免疫毒性反応(≒アレルギー反応)の個人差を予測・解析する上で新たな知見をもたらすことが期待される。