研究課題
レンチウイルスベクターを用いてGFP遺伝子を導入したヒトリンパ管内皮細胞とヒト新生児線維芽細胞を用いて細胞集積法により1 cm径の3次元ヒト生体組織を構築した。これらにおいて培養開始12~72時間後より12時間を1タームとしたリンパ管網形成のライブイメージングをタイムラプス撮影装置により取得し、リンパ管内皮細胞のセルダイナミズムの解析を行うとともに、分子形態学的手法ならびに文政生物学的手法により一部の機能分子の発現解析を行った。その結果、リンパ管内皮細胞は管腔形成を行いながらまず2次元的なメッシュワークを形成するが、その管壁において静的な内皮細胞と激しく動く動的な内皮細胞がモザイク状に出現した。動的な内皮細胞は壁外の複数の方向に向かって探触子のように細長い細胞質突起を盛んに伸長し、マッチングできる細胞と接触するとドッキングし、新たなリンパ路を形成した。マッチングができない場合は退縮し、静的な細胞に変換し、他の静的な細胞が複数の細胞質突起を伸長する新たな動的細胞に変化した。その動的作業の間に、組織深部に向かって太い細胞質突起を伸長する複数の新たな動的細胞がモザイク状に出現し、その細胞質突起群は分岐しながら互いに吻合と離脱を繰り返すことで次第に三次元的なネットワークを形成した。このリンパ管網形成におけるセルダイナミズムに同調するように内皮細胞はNotch1、Dll4、VEGFR3などの機能分子を発現した。現在さらに脈管新生因子アレイによる網羅的な機能分子発現解析を行っている。
3: やや遅れている
3次元的リンパ管網形成における脈管新生アレイによる網羅的な解析がやや遅れている。
三次元リンパ管網形成におけるセルダイナミズムに同調した脈管新生因子アレイを用いて機能制御分子の発現・局在を明らかにする。これにより抽出された制御分子に対するRNAiを用いて分子シグナルの機能解析を行う計画である。
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