研究実績の概要 |
三次元ヒト生体組織における血管・リンパ管網形成のライブイメージング解析により、血管内皮細胞が平面的な広がりをもつ脈管網を形成するのに対し、リンパ管は2次元的なメッシュワークを形成した後、これよりさらに組織の深部に向かって内皮細胞突起と管腔の伸長と退縮を繰り返し、数日後には3次元的な深さをもつ広範囲のネットワークを構築することが明らかになった。そのプロセスにおいてリンパ管内皮細胞はオートファジー機構を作用させることで自らの形態のリモデリングを行い、管腔形成を行っていた。 また、リンパ管網形成を行う三次元ヒト生体組織において脈管新生因子アレイによる機能分子発現の網羅的解析を行い、複数種の脈管成長因子群(PIGF, Angiopoietin-2, VEGF, endostatin, VEGF-Cなど)と組織形成関連因子群(MMP, TIMPなど)、ならびに免疫細胞誘導因子(MCP-1, DPPなど)が抽出された。これらの機能分子群で特に高い発現を認めたAngiopoietin-2、ならびにリンパ管形成において重要視されるProx1, VEGF-R3, podoplanin, LYVE-1, VE-cadherinなどの時空間的発現を分子形態学的に解析し、脈管形成、内皮細胞チップの形成・伸長、移動、吻合などのネットワーク形成イベントに対する各分子の特異的な発現を明らかにした。
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