1.三次元ヒト生体組織におけるリンパ管網形成のライブイメージング解析システムを確立した。これにより数日で血管内皮細胞が2次元的なネットワークを形成するのに対し、リンパ管内皮細胞は2次元的な初期ネットワークを形成した後、組織深部に向かって新たなネットワーク形成を行い、同期間内に3次元的なネットワークを形成することが明らかになった。そのネットワーク形成では第一段階として、平面的に分布するリンパ管内皮細胞群の一部に島状の集合体が出現し、その内部に管腔が生じ、管壁の内皮細胞の一部より伸長する細胞質突起が糸状仮足をもつ探触子として他細胞の細胞質突起または細胞体と接触を繰り返すことでvasculogenesisによる原始的なメッシュワーク形成を行っていた。さらに、メッシュワークの管壁の一部に細胞質突起を組織深層に向かって伸長する内皮細胞(動的細胞)が出現し、それらの細胞質突起は枝分かれと成長円錐を形成しながら他の動的細胞や細胞質突起をもたない静的細胞と接着や退縮を繰り返し、angiogenesisに基づくリモデリングにより3次元的なネットワークを構築していた。 2.リンパ管網形成過程を構成する前述の各イベントには、それ特有の分子シグナルが時空間的に発現していることがプロテオームアレイおよび分子形態学的解析において確認された。これらの特異分子に対するRNAiを用いたイメージング解析によりangiopoietin-2を初めとした複数種の機能分子が動的細胞および静的細胞の動態を含む各イベントの進行を綿密に制御していることが明らかになった。
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