ピロリ菌感染による慢性炎症の持続が胃がん発症に重要な役割を果たしている。タイではピロリ菌感染に関連した胃がん発症が非常に低い。タイのピロリ菌感染率は46%程度であり、世界の約半数がピロリ菌に感染しているとの現状との大きな乖離はなかった。今回、タイのピロリ菌に着目し検討をおこなったところ、vacA遺伝子、oipA遺伝子など病原遺伝子が強毒型を示した。また、複数の民族が暮らす(モン族、カレン族、タイ族、タイ-中華族)メーソットにおけるピロリ菌のMLST法による詳細な遺伝子解析により、「モン族とタイ-中華族の起源は中国にあり、カレン族はミャンマー由来」である事を明らかにした。
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