研究課題/領域番号 |
16K08735
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
宮崎 龍彦 岐阜大学, 医学部附属病院, 准教授 (80239384)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 病理学 / ゲノム / 薬剤反応性 / 炎症・膠原病 / モデル動物 / オステオポンチン / 蛋白アナログ |
研究実績の概要 |
I.MXH/lpr系マウスの繁殖および凍結受精卵からの復帰:兄妹交配を続けているMXH系マウスと、凍結受精卵として保管しているMXH系マウスの繁殖を行い、実験に使用するマウスを確保した。現在、10系統を維持・繁殖しており、これらの臓器病変を4ヶ月例でスクリーニングした。 Ⅱ.Opnおよび自己抗原阻害蛋白アナログの機能エピトープ検索と低分子量蛋白の作成:これまでにOpnに関してはMRL/lprやMcH-Agnm3系マウスを用いてスクリーニングされた蛋白のうち、効果があると目される蛋白3種類につき、低分子アミノ酸の合成を行い、Opnとの結合エピトープを含む部位をッ解析した。さらに、RRP8およびTNP1とアフィニティーを持つ蛋白のスクリーニングを行った。 Ⅲ.Opnおよび自己抗原阻害蛋白アナログによる糸球体腎炎およびその他臓器病変の治療効果解析:上記でスクリーニングされた蛋白アナログをコムギ胚芽無細胞系で合成し、MXH系の中で各臓器病変が分離している系および親系統MRL/lprに投与し、糸球体腎炎、全身性血管炎、皮膚炎の抑制効果のプレリミナリーな解析を行った。コントロールとしてメチルプレドニゾロンの投与も行った。 IV.蛋白アナログによる各近交系マウス由来免疫細胞の免疫機能修飾の解析:MXH/lprのうち3系統およびMRL/lprから各々腹腔マクロファージ活性化、マクロファージ遊走、の阻害などについてin vitroの解析を行った。 V.Span80ナノベシクルを用いた蛋白アナログdrug delivery systemの開発:界面活性剤Span80を用いた脂質二重膜ベシクルによるDDSを用いて、、蛋白アナログやその他薬剤を内包させ、尾静脈に投与し、臓器病変に送達する系を確立する為、投与方法として、鼠径リンパ節への注射によるあらたなDDSの可能性を見いだし、予備的実験を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
リコンビナント・インブレッドマウス系の凍結受精卵からの復帰、および繁殖は概ね予定通りに進んでいる。蛋白アナログの合成に関しては、エピトープへのアフィニティ解析が困難な蛋白もあり、アフィニティが確認されたものから順次実験に投入している。DDSの開発に関し、当初計画していなかったリンパ節(リンパ系)への投与が非常に有効であるという報告をうけ、この系を使うことを想起し、予備実験を行った。特に各臓器の所属リンパ節への薬剤送達に関しては非常に効果が高いことがわかり、今後この系を用いた投与でin vivoの実験を進めていくことを考えている。 かくストレインのphenotype解析は順調に進行中であり、投与実験のコントロールとして使用可能なデータが揃いつつある。
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今後の研究の推進方策 |
今後、投与する蛋白アナログの種類を増やして、それぞれの疾患抑制効果、副反応の有無を詳細に解析していく。また、それらの蛋白アナログによるin vitroにおける免疫反応のmodulationについてもさらに詳細に解析を進めていく。今年度は特にregulatory T cell, regulatory dendritic cellの誘導にも着目して解析を進める。 リンパ系への投与につき、Span80ナノベシクルを用いたDDSの開発とともに、薬剤を直接リンパ系に投与する系についても解析を進めていく。標的細胞が明らかになった場合は、Span80ナノベシクルの表面に特異的抗体をふかしたものを使用することも検討する。 これらのin vivoにおける投与による有害事象がないか、全身臓器を病理学的に詳細に解析する。
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