H28年度にはI.MXH/lpr系マウスの繁殖および凍結受精卵からの復帰を行い実験に使用するマウスを確保し、Opnおよび自己抗原阻害蛋白のうちOpnとの結合エピトープを含む蛋白を解析し、コムギ胚芽系無細胞蛋白合成システムで合成した。それらの蛋白を用い、マクロファージ機能阻害などについてin vitroで解析した。これらと並行してドラッグデリバリーシステム(DDS)の開発を行った。 H29年度にはOpn阻害効果が期待される蛋白のうちRRP8およびTNP1を選択して、これらを作製してスクリーニングに用いるための予備実験を行った。主に糸球体腎炎の抑制を指標に予備実験を行った。さらに、DDSの開発を進め、リンパ系への投与が優れていることを見いだし、Span80を用いたナノベシクルはこの場合メリットが限られることも明らかになり、脂質二重膜ベシクルを今後使用しないことに方針を決定した。 H30年度には膠原病モデルマウスへの蛋白アナログおよび治療陽性コントロールとしてシクロフォスファミドを投与し、糸球体腎炎、血管炎をはじめとする自己免疫疾患抑制効果を網羅的に解析した。また、有害事象による病理学的変化がないかについて全臓器を詳細に解析した。シクロフォフォスファミドを用いた投与系では統計学的に優位に糸球体腎炎を抑制し得た。一方で、皮膚血管炎の抑制効果が見られる可能性を見いだし、その結果を日独皮膚科学会(ドイツで開催)に発表するとともに、実験系全体について日本病理学会、血管炎病因病態研究会などで発表した。
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