研究実績の概要 |
令和3年度は,解析結果を第53回日本医学教育学会大会で発表した。総合型選抜で入学した学生は研修医となった時点でも,他の選抜で入学した研修医に比べ「患者―医師関係」や「チーム医療」という対人関係の能力が高く「症例提示」というプレゼンテーション能力が高い事が明らかになった。データ解析を更に進め以下の結果を得た。 卒業後のデータ:本学卒業者のうち,2015~2018年度に臨床研修を開始した者を調査対象とした。臨床研修修了直前に対象者の臨床研修病院の指導医にアンケートを送付し「引き続きあるいは将来,同じ病院で働いて欲しいか」「医療者として必要な基本姿勢・態度」について5段階評価で回答を求め,両項目間の相関を分析した。「引き続きあるいは将来,同じ病院で働いて欲しい」と相関が強かった到達目標は,「上級及び同僚医師や他の医療従事者と適切なコミュニケーションがとれるSpearman's ρ=0.62, P=0.001」「指導医や専門医に適切なタイミングでコンサルテーションができるρ=0.61, P=0.001」「同僚及び後輩へ教育的配慮ができるρ=0.57, P=0.001」だった。一方,相関が弱かった到達目標は,「医療保険,公費負担医療を理解し,適切に診療できるρ=0.26, P=0.001」「保健医療法規・制度を理解し,適切に行動できるρ=0.31, P=0.001」「医薬品や医療用具による健康被害の発生防止について理解し,適切に行動できるρ=0.37, P=0.001」だった。指導医は「チーム医療に優れる研修医」と共に働くことを望むと考える。また「医療人として必要な基本姿勢・態度」は,研修医にとっていずれの項目も等しく重要だと言えるが,指導医が共に働きたい研修医という視点では,その重視度に項目間のばらつきがあることが示唆された。結果は,第54回日本医学教育学会大会で発表予定である。
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