令和4年度は,令和3年度の解析結果を第54回日本医学教育学会大会で発表(口頭発表)した。解析により「医療人として必要な基本姿勢・態度」はいずれも重要とされているが,指導医は 「チーム医療」 や「患者―医師関係」に優れる研修医と一緒に働きたいと考えていることが明らかになった。これはチーム医療が強く要求される医療現場では,チーム全体としての能力を引き上げる医療人が求められていることを示している。また,「指導した研修医が引き続きあるいは将来,同じ病院で働いて欲しいか」に対する指導医の回答を,総合型選抜入学者とその他の選抜入学者で比較した結果,総合型選抜入学者がその他の選抜入学者より優れることが明らかとなった(p=0.048)。総合型選抜は入試でグループワークを課し,主体性や協働性に優れる者を選抜している。医療現場でも同様の能力が求められており,総合型選抜入学者がこれを満たしていることが示唆された。 総合型選抜(AO入試)入学者の卒業後の様態について以下のようにまとめ,学会誌「医学教育」へ投稿した。背景:「対人関係の能力」や「プレゼンテーション能力」は医師に必要な能力であり,臨床研修の到達目標としても掲げられている。高知大学医学部医学科は,知識だけでなくこれら2つの能力も評価するAO入試を実施している。方法:AO入試入学者とその他の選抜入学者において,卒業後の「医療人として必要な基本姿勢・態度」に関する臨床研修指導医による評価に差があるかを検討した。結果:患者-医師関係,チーム医療,症例呈示において,AO入試入学者がその他の選抜入学者より有意に優れていた。考察:高知大学医学部医学科AO入試は,対人関係の能力やプレゼンテーション能力を評価する選抜として有用だと考えられる。
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