研究課題/領域番号 |
16K08923
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研究機関 | 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛 |
研究代表者 |
太田 宏之 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 生理学, 助教 (20535190)
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研究分担者 |
佐藤 泰司 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 生化学, 教授 (10505267)
丹生谷 正史 東北医科薬科大学, 医学部, 講師 (00228256)
野々山 恵章 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 小児科学, 教授 (40280961)
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研究期間 (年度) |
2016-10-21 – 2020-03-31
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キーワード | デオキシアデノシン / アデノシンデアミナーゼ / 神経科学 / 脳神経疾患 / ADA欠損症 |
研究実績の概要 |
本研究では、デオキシアデノシン(dADO)の神経毒性を調査する。アデノシンデアミナーゼ(ADA)欠損症の研究から、dADOはADAの活性が低下した場合に増加し、白血球に対する毒性をもたらすことが知られている。しかし、ADA欠損症においては免疫系の異常だけではなく、脳神経系に対する障害も報告されており、dADOの神経細胞に対する作用が疑われる。そこで、本研究ではdADOの神経毒性について、培養系と脳急性スライスを用いて定量化する。 繊維芽細胞の培養系を用いてdADOの細胞毒性のアッセイ系を確立し、WST-8を用いて細胞毒性を評価した。その結果、WST-8を用いたアッセイ系で再現性良く、細胞毒性を評価できることを確認した。この系を用いて、ADAの阻害剤であるデオキシコホルマイシン(dCF)存在下で、dADOに細胞毒性があることを確認した。dCFが無い場合は、dADOを添加しても細胞障害をWST-8によって確認することはできなかった。これは、内因性のADAがdADOの毒性を無効化していることを示している。 マウスおよびラットの大脳皮質-線条体の脳急性スライスを用いて、dADOの神経毒性の検討を行った。しかし、繊維芽細胞の培養系とは異なり、dADOの濃度依存的な神経細胞死は確認できなかった。 マウス海馬の初代培養系を用いて、dADOの神経毒性の検討を行った。しかし、数日間のdADO添加(dCF有り及び無し条件)では急性の毒性を確認できなかった。 以上をまとめると、dADOは増殖する細胞に対しては急性の毒性が存在するが、増殖期に無い神経細胞に対する急性の毒性は低いことが示唆された。デオキシアデノシン欠損症においては、神経系の発達期におけるdADO除去が重要であるものと考えらえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究において検証する仮説は、「デオキシアデノシンに急性の神経毒性が存在するか?」である。急性スライスおよび初代培養系を用いた実験結果より、デオキシアデノシンには急性の神経毒性は確認できなかったため、この仮説はネガティブであることが概ね明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
初代培養系の実験および急性スライス実験に関して条件を変えて実験を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
これまでの予備実験で得た知見を元に、次年度本実験を行うため。
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