研究課題/領域番号 |
16K09069
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
清水 忍 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (90286386)
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研究分担者 |
松永 篤彦 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (00286387)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 身体活動量 / 歩数 / 脳卒中 |
研究実績の概要 |
本研究は脳卒中片麻痺者を対象に、身体活動量と身体機能、移動能力、日常生活活動との関係について明らかにするとともに、これらを縦断的に調査し、脳卒中の再発率、生存率と身体活動量の関係について調査することを目的としている。しかし、現在市販されている身体活動量計では片麻痺者の歩数を正確に測定することが困難であるため、本年度は片麻痺者特有の歩行(ぶん回し歩行など)や低速度での歩行の場合でも、正確に身体活動量(歩数)を測定する方法を明らかにすることを研究目的とした。 回復期病院に入院中の片麻痺者を対象に、三軸加速度計内蔵のiPod touch(アプリケーション「ジャイロくん」使用)と市販の活動量計Fitbit oneを足部に装着して、2分間の連続歩行を実施した際の歩数および加速度を計測し、2つの装置から算出された歩数の精度について検討した。その結果、Fitbitoneでは、先行研究で示されている通り、20m/min以上の歩行速度が比較的速い対象者の歩数は正確に測定できるものの、20m/min以下の歩行速度が遅い対象者の歩数は正確に測れなかった。一方、iPod touchを用いて測定した加速度波形から歩数を算出した場合には、歩行速度が遅い対象者の歩数も7%程度の誤差率で測定できたが、逆に歩行速度が速い対象者では誤差が大きくなる傾向にあることが明らかとなった。また、現状では、iPod touchを用いた場合にリアルタイムに歩数を算出できないことなど、今後さらにアルゴリズムを改良していく必要があることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は脳卒中片麻痺者の身体活動量(歩数)の測定に関して、歩行速度が遅い場合や歩行パターンが正常とは異なる場合でも正確に測定する方法の開発・改良を目的に研究を予定していた。しかし、片麻痺者の歩数計測に関する最近の論文によれば三軸加速度計内蔵の身体活動量計(Fitbit one)を使用することによって正確に歩数計測が可能とのことであったため、これまで我々が研究に使用してきた三軸加速度計内蔵生体計測センサ(iPod touch)に加えて、Fitbit oneを同時に装着し、その精度を比較することが必要となった。このため、当初の計画よりも測定の実施が若干遅れることとなった。
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今後の研究の推進方策 |
これまで、我々が脳卒中片麻痺者の身体活動量計測のために開発してきたiPod touchを用いた歩数計測方法について改良を進めるとともに、最近新たに市販されるようになった身体活動量計を用いた片麻痺者の歩数計測の精度について検討する。その結果、歩行速度や異常歩行の影響を受けず、最も精度が高い歩数測定が可能な方法を明らかにし、それを用いて片麻痺者の身体活動量(歩数)の計測を実施する。同時に、身体機能、移動能力、日常生活活動能力を評価し、これらと身体活動量の関係性について明らかにする。さらに、縦断的な評価を行い、身体活動量(歩数)の変化と身体機能等の変化との関連性について明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、昨年度まで我々が片麻痺者の歩数計測に用いてきた計測器(iPod touch)による歩数計測方法の改良を行うために、新たなiPod touchの複数購入を予定していた。しかし、片麻痺者の歩数計測に関する最近の論文によると三軸加速度計内蔵の身体活動量計(Fitbit one)を使用することによって正確に歩数計測が可能とのことであったため、これまで我々が研究に使用してきたiPod touchとFitbit oneを同時に装着し、その精度を比較することが必要となった。この結果によっては身体活動量(歩数)計測のための機器として当初予定していたiPod touchではなく、Fitbit oneを購入する可能性があったため、本年度予定していた物品購入のための予算の一部を使用せず、次年度に繰り越すこととした。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、片麻痺者の身体活動量と身体機能、移動能力等との関係性を明らかにするための調査を開始していく予定である。このため、片麻痺者の身体活動量(歩数)を正確に測定する方法を明らかにしたうえで、最も精度が高い身体活動量計を購入することを予定している。
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