研究課題/領域番号 |
16K09171
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
武田 理宏 大阪大学, 医学部附属病院, 准教授 (70506493)
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研究分担者 |
三原 直樹 国立研究開発法人国立がん研究センター, 医療情報部, 部長 (20379192)
松村 泰志 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (90252642)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 薬剤有害事象 / 放射線レポート / 自然言語解析 |
研究実績の概要 |
今年度は、放射線レポートのキーワードでどの程度疾患をとらえることができるかを、腫瘍のレポートで検証を行った。対象は胸部CT所見を研究とし、肺がん、乳がん、食道がんのレポートの検出を行った。 肺がん所見の特徴語(陽性尤度比、陰性尤度比)は、原発性(460、0.54)、辺縁不整(210、0.79)、胸膜陥入像(130、0.87)、肺がん(37、0.27)などであった。肺がんは感度0.78、特異 乳がん所見の特徴語は原発性(310、0.69)、皮膚(250、0.75)、乳腺(47、0.54)、濃染(34、0.67)などで感度0.83、特異度0.95であった。感度1となるカットオフ値は0.007で、感度1、特異度0.41であった。食道がん所見の特徴語は反回神経領域(220、0.78)、全周性(180、0.82)、食道癌(80、0.20)、食道(17、0.33)などで感度0.75、特異度0.92であった。感度1となるカットオフ値は0.58で、感度1、特異度0.95であった。 胸部CT所見のデータから間質性肺炎を検出する精度は、感度0.89、特異度0.99で間質性肺炎ほどの検出率は得られなかった。その理由として、間質性肺炎ほど明確な特徴語がないことが考えらえた。一方、感度を1とする形でカットオフ値を求めると、特異度はある程度の値が求められたので、がんレポートの見落とし防止を目的として利用は可能と考えられた。 今年度は、間質性肺炎については、有害事象の検出に胸部単純レントゲン、KL-6、SP-Dの補助診断の活用方法の再検討を行った。カルテレビューとの比較では、ゲフィチニブが本法が6.0%、カルテレビューが4.1%、メトトレキサートがそれぞれ2.3%、1%、テガフール/ギメラシル/オテラシルカリウムが1.4%、0.8%、テガフール/ウラシルが0.7%、0.5%と良好な結果が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、間質性肺炎については、有害事象の検出に胸部単純レントゲン、KL-6、SP-Dの補助診断の活用方法の再検討を行い、それによって得られた有害事象の発生率に対して、カルテレビューで評価を行った。次に、放射線レポートの自然言語解析として、キーワードの出現頻度でどの程度、判別を行うか、別の疾患で検証をしたほうが良いとの結論に至り、この検証を行っていた。このため、網羅的解析の検証が少し遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は薬剤性間質性肺炎の網羅的解析手法についての検証を行う。 ①胸部CT検査、胸部X線検査は、先行研究で用いた間質性肺炎検出ロジックに従い、0/1の判定を行う。KL-6、SP-Dは、標準値により0/1の判定をつける。検査項目ごとに0→1があれば、Upのレコードとして、1→0があればDownのレコードとして記録する。胸部CT検査で初めて1となった日付を間質性肺炎の診断確定日とする。診断確定日より過去にさかのぼり、それぞれの検査のUpのレコードがあった場合はUpのレコードの0の日付をPre Date、1のレコードをStart Date、胸部CT検査での診断確定日をPost Dateとしてレコードを作成する。、また診断確定日より日付を進めて検索を行い、胸部CT検査で最後に1となった日付を最終間質性肺炎診断日とする。さらに日付を進め、それぞれの検査でDownとなるレコードがあればDownのレコードを作成する。Up、Downで与えられる日付と薬剤投与期間との関係から、薬剤性間質性肺炎の検出を行う。 ②胸部CT検査で初めて1となった日付に投与されている薬剤を検出する。検出した薬剤ごとに投与開始日と終了日を調べ、投与開始前と投与開始後に胸部CT検査を施行されていれば、その判定をデータとして記録する。投与開始前と終了後に胸部CT検査を施行されていない場合は、投与期間中に胸部X線検査、KL-6、SP-Dが1で、投与開始前、終了後に0であった場合に、0を記録する。投与開始前、投与中、終了後の判定パターンにより、薬剤性間質性肺炎の確度を判断する。
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次年度使用額が生じた理由 |
有害事象検出プログラムの作成する予定であったが、検出ロジックの見直しが必要となったため、昨年度の開発は見送った。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度、見直した有害事象検出ロジックをもとに、プログラム開発を行う予定である。
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