胸部CTレポートの自然言語解析により、2014年に初めて胸部CT検査で間質性肺炎を指摘された467症例を抽出した。対象患者に対して、2012年から2014年に施行された胸部CT、胸部Xp、KL-6、SP-Dを抽出し、間質性肺炎陽性、陰性の判定を行った。胸部CTを優先に、補助診断として胸部Xp、KL-6、SP-Dを用いて、間質性肺炎の最後に陰性が証明された日(Pre Date)、最初に陽性が証明された日(Start Date)を求めた。2012年から2014年に薬剤治療が施行された患者を抽出し、437症例が検査データと紐づけがされた。 薬剤投与日と間質性肺炎発症日から起因の道程を行った。Pre DateとStart Dateの間に薬剤が投与されているのは287症例であった。起因薬剤の同定を目的として、PMDAの添付文書で間質性肺炎の副作用が記載されている薬剤で絞り込んだところ、139症例が対象として挙げられた。 症例数の多かった薬剤は、カロナールが402例中31例(8%)、バクトラミン配合錠が301例中23例(8%)、セレコックスが301例中17例(8%)であった。発症頻度が高かったのは、オレンシアが5例中2例、イレッサが6例中2例、コルベットが3例中1例であった。より正確な評価を行うためには症例数を増やす必要があったが、薬剤性有害事象による間質性肺炎の発症率を網羅的に求めることが可能であった。また、PMDAの起因薬剤リストから外れたもの148症例については、これまで報告していない薬剤による間質性肺炎の可能性が考えられ、症例ごとの検討が必要と考えられた。
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