研究実績の概要 |
【目的】尿酸値は心血管病の発症や心血管病のリスクファクターと関連することが報告されている。本研究では、日本人正常血圧集団における尿酸値と高血圧新規発症の関連を検討した。 【方法】定期健診受診者データを利用して、2009年度をベースラインとし、2012年度までの計3年間をフォローアップした。ベースライン時に血圧140/90mmHg未満、高血圧の既往歴なし、降圧薬使用なし、心血管病の既往なしの全てを満たす12,029名を対象とした。高血圧新規発症は血圧140/90mmHg以上、高血圧の既往あり、降圧薬使用ありのいずれかを満たすものと定義した。ベースラインの尿酸値と3年間の高血圧新規発症について、ベースライン時の年齢、性別、身長、体重、血圧、空腹時血糖、喫煙、eGFR、HDLおよびLDLコレステロールで調整した離散型比例ハザードモデルで検討した。また、JSH2014の血圧区分に従った至適血圧、正常血圧、正常高値血圧の3群において同様の検討をおこなった。 【結果】対象集団は平均年齢49歳、女性31%で、尿酸の平均値は5.2 mg/dlだった。3年間のフォローアップの間に集団の12% (1457名)が高血圧を発症した。離散型比例ハザードモデルによる多変量解析の結果、尿酸は高血圧発症に有意に相関していた(HR、1.25; 95%CI, 1.12-1.39; p<0.001 尿酸1mg/dl増加につき)。この関連は、至適血圧、正常血圧、正常高値血圧の各群でも同様に認められた。 【結論】日本人の正常血圧集団において、尿酸の上昇は他の因子と独立して高血圧新規発症と関連を認めた。この関連はJSH2014で定められた血圧正常以下の各血圧群においても一貫して認められた。
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