日常動作では、扱う物体やターゲット(標的)の位置に眼が先行して到達し、それに遅れて手が到達する(眼と手の協調関係)。日常動作における眼と手の協調関係を定量的に計測・評価できる装置を開発し、正常者および脊髄小脳変性症(SCD)、パーキンソン病(PD)などの神経疾患患者で検討を行った。手のreaching課題において脊髄小脳変性症患者で眼の動きが指の動きの正確さを決めるが、SCDではこの協調関係が障害され、そのために手の動きが不正確になることがわかった。書字の際の眼と手の協調関係を検討すると、小字症を認めるPD患者では、書字の際の視線の動きが小さく小字症の一因になっている可能性を示した。
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