研究課題
Prelpは、378アミノ酸でコードされる膜蛋白であり、結合組織や軟骨に発現し、早老症の発症に関連していると報告されている。肥満モデルであるob/obマウスや高脂肪食負荷マウスの脂肪組織では、Prelpの発現が著しく亢進していた。さらに、培養脂肪細胞の検討において、Prelpを過剰発現させた脂肪細胞では、インスリン応答性の糖取り込みが抑制され、Prelpをノックダウンした脂肪細胞では、インスリン応答性の糖取り込みが亢進していた。これらからPrelpは、培養脂肪細胞においてインスリン抵抗性発症に関与している可能性が示唆された。さらに、Ap2プロモーターを用いた脂肪細胞特異的Prelpトランスジェニックマウスと全身性Prelpノックアウトマウスに高脂肪食負荷を行い、Prelpのメタボリック症候群における役割を検討した。高脂肪食負荷後、脂肪細胞特異的Prelpトランスジェニックマウスでは、野生型マウスと比較し、より強い脂肪組織の繊維化を発症し、全身のインスリン抵抗性がより強く誘導されていた。
2: おおむね順調に進展している
当初の予定では、平成28年度に培養細胞に関する実験を行い、平成29年度に動物実験を行う予定としていたが、一部の培養細胞実験を平成29年度へ、一部の動物実験を平成28年度に行った。その他、特に変更なく実験計画通り、進行している。
Prelpは、メタボリック症候群における脂肪組織の繊維化や全身のインスリン抵抗性発症に関与している可能性がある。現在、Prelpと相互作用する蛋白、繊維化を誘導するシグナルを検討中である。
平成28年度に予定していた実験項目の1部を平成29年度へ変更し、平成29年度に計画していた実験項目の1部を平成28年度に行ったため、差額が生じた。
平成28年度に予定していた実験項目を平成29年度に行うため、差額分を使用する予定である。
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