研究課題
1.本年度、新たに造血器腫瘍24検体においてRNA-seq解析を行い、データのコンピューター解析を進めた。当研究課題にて、RNA-seq解析した検体数は48検体で、過去の検体を含めこれまでに74検体の造血器腫瘍を解析した。2.TCF4-MAML3の解析: MAML family遺伝子は、様々な固形ガンで融合遺伝子を形成することが知られているが、CD4+CD56+芽球性NK細胞白血病の再発時に、t(4;18)(q31;q21)を含む複雑核型を呈した症例において、4q31に位置するMAML3と、18q21に位置するTCF4がinframeで融合するTCF4-MAML3を同定した。この症例では、TCF4、MAML3の高発現が認められた。また、一般にAMLにおいてMAML3は高発現していた。MAML3の融合遺伝子では、WNTシグナルの亢進が関与するとの報告があるが、本症例においても、GSEA発現解析にて、WNTシグナル関連遺伝子の高発現を認めた。3.t(6;9;22)(q25;q34;q11.2)を有するBCR-ABL1陽性CMLの解析: t(9;22)(q34;q11.2)を有するCMLの5-8%に付加的染色体異常認められるが、その遺伝子異常についての解析は進んではいない。RNA-seq解析にて、6q25に位置するARID1Bのexon4と、22q12.2 に位置するEMID1 のexon12のinframeでの融合が確認された。ARID1B は、その変異がいくつかの固形癌に関与することが知られている。また、 EMID1 はBCR からテロメア方向に6Mb離れて位置するため、t(6;9;22)(q25;q34;q11.2)は、t(6;22) (q25;q12.2) と t(9;22)(q34;q11.2)という異なる二つの転座を含んでいることが明らかとなった。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)
Biochem Biophys Res Commun.
巻: 525 ページ: 1074-1080
10.1016/j.bbrc.2020.02.165.
Cytogenetic and Genome Research
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10.1159/000508012