水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)や単純ヘルペスウイルス(HSV)などのαヘルペスウイルスによる感染症には、急性網膜壊死(ARN)のように、第一選択薬であるacyclovir(ACV)が十分に効かない疾患も存在する。そこで強い抗ウイルス作用をもつフラボノイドであるtricinが、ACVを代替あるいは補助する薬となる可能性を検討した。ARNの発症機序モデルとして、VZVを感染させたヒト網膜Muller細胞株において、IL-8やMMP-13の産生上昇が起きることをまず確認した。そしてACVおよびtricinの抗ウイルス効果・抗炎症効果を同細胞で比較したところ、tricinにより強い作用が見出された。
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