高齢者では術後せん妄(神経行動の障害)をよく発症する。論文では、先行研究(2005.8~2006.8)と本研究(2016.6 -2018.12)を合わせて、計画的な心臓手術を行った総数175名(58~87 歳)の患者のデータを解析した。術前に得たMRI画像からSPM-8によって各部位の体積(絶対量)を計算し、せん妄はDSM-IV に拠って診断した。 175名中32名の患者がせん妄を発症し,年齢を考慮した統計学的解析では、広範な大脳皮質と小脳の灰白質の体積が、健常群に比べてせん妄群で有意に減少していた。従って、これら灰白質の萎縮が、心臓手術後のせん妄発症の脆弱性に関与している可能性がある。
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