研究課題/領域番号 |
16K10348
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大須賀 慶悟 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (90332741)
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研究分担者 |
日高 国幸 大阪大学, 医学部附属病院, 診療放射線技師 (50437430)
木村 廉 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (80774223) [辞退]
東原 大樹 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (90423186)
中澤 哲郎 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (10633018) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 薬剤溶出ビーズ / 高吸水性ポリマー / 抗癌剤 / ドラッグデリバリーシステム / VX2腫瘍 |
研究実績の概要 |
イダルビシン(IDR)含侵高吸水性ポリマー(SAP)のin-vitro検討及び動物実験を行った。In-vitro検討では、10㎎のIDR(2mg/mL)を含侵させたSAP(25㎎, 30-60μm)の含侵率測定のため、含浸60分後にIDR含侵SAPを流量4mL/minに設定したフロースルーセルに投入し徐放能の検討を行った。60分後の含侵率は平均96.5%と高い含侵率であった。溶出は、フロースルーセルの環境で緩徐な溶出を認め、24時間後の放出率は、71.4%であった。動物実験では、肝左葉にVX2腫瘍を移植した12羽のニュージーランド白色兎(12-14週齢)に対して、全身麻酔下にIDR含侵SAP(2.5㎎, IDR0.5mg 含侵)で左肝動脈を塞栓した群と左肝動脈よりIDR(0.5mg)を動注後に薬剤非含侵SAP(2.5mg)で塞栓した二群(各6羽)を比較した。術前及び7日後のCTでは、治療前腫瘍径、治療前腫瘍体積に有意差なく、治療後腫瘍径、治療後腫瘍体積および増大率に関してはIDR含侵SAP群で有意な腫瘍増大抑制が認められた。実際の塞栓に要したSAPの量は両群で差を認めなかった。治療前、1日後、7日後に生化学検査(Alb, AST, ALT, ALP, LDH, γGPT, Bil)を行ったが、両群に有意差は認めなかった。 ソラフェニブのリピオドール溶解液または懸濁液作成については、ソラフェニブ錠を粉砕してリピオドールを混合し、懸濁液を作成することができた。フィルター(0.2-0.4μm)で濾過した濾液に関して溶液中のソラフェニブ濃度をLC-MS/MS法で測定してみたものの、ソラフェニブは検出できなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
動物実験におけるIDR血中濃度および組織中濃度に関しては、測定方法が確立しておらず、企業に照会した条件では不純物であるIDR同位体が混在しているため測定が難しく内部標準として類縁体が必要であることなど試行錯誤が必要であった。また組織のホモジネートの際にはホモジネートのしやすさにばらつきがあり、時にホモジネートの際に使用しているチューブが割れてしまうため強化チューブを使用するなど工夫が必要であった。 ソラフェニブ-リピオドールに関しては、リピオドール懸濁液のフィルター濾過の過程で微細粉末の一部が除去されてしまうため、濾液の薬剤濃度が検出感度以下になるなど、測定に試行錯誤を要した。
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今後の研究の推進方策 |
IDR血中濃度および組織中濃度の測定を進めるとともに予定どおり動物実験で得られた検体に関して、病理組織学的な検討も行う。 ソラフェニブ-リピオドールに関しては、使用可能な溶液の作成に難渋しているが、まずは懸濁液の状態でのソラフェニブが検出できるかどうか検討し、確認ののちに微粉末中のソラフェニブ成分の抽出に関して検討を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) IDR濃度測定を国内企業に外注することを見込んでいたが、計測系の新たな構築が予想外の高額になるため発注を断念した。代わりに、当施設薬剤部研究室内で独自に薬剤濃度測定を試みることとなり、薬剤測定に係る費用が予定より減少したため、残額を来年度に繰り越すことにした。 (使用計画) 引き続き当施設薬剤部研究室内での薬剤濃度測定に係る費用に充てることとする。
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