• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2016 年度 実施状況報告書

ホルモン療法抵抗性乳癌における骨髄転移メカニズムの解明と新規分子標的治療薬の開発

研究課題

研究課題/領域番号 16K10468
研究機関名古屋市立大学

研究代表者

近藤 直人  名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (90529166)

研究分担者 遠山 竜也  名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (30315882)
遠藤 友美  名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (20566228)
吉本 信保  名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 研究員 (10551244)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード乳癌 / 骨転移 / エストロゲンレセプター / RAI2
研究実績の概要

【背景】エストロゲン・レセプター(ER)陽性乳癌のなかには、発症初期の段階で骨髄 転移(DTC:disseminated tumor cell)を来たす症例があることが知られており、その 転移メカニズムの解明と治療成績の向上が緊急課題となっている。最近、ER 陽性乳癌 の骨髄転移に転移抑制遺伝子(RAI2:Retinoic Acid-Induced 2)が深く関与している ことが報告された。【目的】本研究では、長期フォローアップ(中央値約 10 年)をした乳癌症例を対象に、乳癌組織における RAI2 発現と予後ならびに臨床病理学的因子との相関を検討した。【対象・方法】当施設で 2000 年~2007 年に手術を施行した初発乳癌 478 例を対象に、乳癌組織より RNA を抽出し、TaqMan real-time PCR システムを用いて、RAL2 遺伝子のmRNA発現を定量的に測定した。次に、RAI2mRNA発現レベルと無再発生存期間(DFS)および全生存期間(OS)との相関、および臨床病理学的因子との関連性について検討した。【結果】乳癌組織における RAI2 mRNA の低発現症例は高発現症例に比べて、DFS・OSともに有意に予後不良であった(ともにP<0.0001)。エストロゲン受容体陽性乳癌(N=256)を対象とした検討においても、RAI2 mRNA の低発現症例は高発現症例に比べて DFS・OS ともに有意に予後不良であった(それぞれ P=0.0004、P=0.0008)。考察】今回の検討により、骨髄転移抑制遺伝子候補であるRAI2がER陽性乳癌の予後に関連することが示された。今後は乳癌細胞株を用いて、RAI2を強制発現およびノックダウンした場合のホルモン療法薬への影響を検討する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1.乳癌組織からの RNA 抽出、RAI2 発現解析:現在までに、乳癌 478 例を対象に TaqMan RT-PCR システムを用いて RAI2 発現について 解析したが、validation 実験として、異なる臨床検体セットについて再検討する。
2. 乳癌組織における RAI2/CtBP2 標的遺伝子の mRNA・蛋白発現の検討。
3. RAI2 発現ベクターの作成: RAI coding sequence を RT-PCR にて増幅し、発現ベクター(phCMV3 expression vector: Genlantis 社)に挿入して、RAI2 発現ベクターを作成する。
4. 乳癌細胞株に対する RAI2 遺伝子強制発現の影響に関する検討を行う。

今後の研究の推進方策

1.ホルモン療法の効果の検討:RAI2 遺伝子強制発現時における、ホルモン療法薬 (抗エストロゲン薬:タモキシフェン、フルベストラント)の効果に及ぼす影響について観察する。
2. 乳癌細胞株に対する RAI2 遺伝子ノックダウンの影響に関する検討(近藤・吉本担当):ER 陽性乳癌細胞株を用いて、RAI2 遺伝子ノックダウンによる影響について、A) RAI2/CtBP2 の標的遺伝子、B) 上皮・間葉系マーカー、C) 細胞遊走能・浸潤能、D)ホルモン療法の効果について、それぞれ解析する。なお、RAI2 発現のノックダウンに使用する RAI2 shRNA Plasmid (RAI2 shRNA Plasmid (h)-SH)はすで に Santa Cruz 社より購入済みである
3. Xenograftモデルを用いた検討:ヌードマウスへ移植した乳癌細胞に対するRAI2強制発現の増殖抑制効果に関する検討(近藤・遠藤担当): A) ER 陽性およびER陰性乳癌細胞株にRAI2発現ベクターをエレクトロポレーションにて導入し、薬剤選択によりRAI2遺伝子安定発現細胞株を作製する。 B)RAI2発現細胞株およびコントロールの親株を6週齢雌ヌードマウスの皮下組織に植え付ける。

次年度使用額が生じた理由

本年度に行う予定であったXenograftモデルを用いた研究まで進んでおらず、このため翌年度に行うこととなったため

次年度使用額の使用計画

本年度にXenograftモデルを用いた検討を進める

URL: 

公開日: 2018-01-16  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi