研究課題
RFPで標識したヒト大腸癌細胞株をヌードマウスの脾臓に注射し、転移性肝癌モデルを作成した。本転移性肝癌モデルに(1)50%ALPPS、(2)50%門脈塞栓、(3)単開腹を施行し、切除予定肝(DL)内、ならびに残存予定肝(FLR)内の転移巣を経時的に観察、測定した結果、門脈結紮群・ALPPS群はコントロール群と比較し、いずれもDL内では早期の転移増大はなく、晩期に有意に転移増大が生じた。一方、FLR内の転移巣の増大は、各群で有意差を認めなかった。また、DL, FLR内のgrowth factor, cytokineの変化について測定した結果、TNF-α、TGF-βはDL, FLRにいずれにおいてもALPPS群で早期に上昇していたが、HGFはFLRにおいてのみ、ALPPS群で有意に上昇しており、HGFはFLRの肝再生に重要な役割を果たしていると考えられた。一方、血清中のTNF-αは、Day1においてALPPS群、門脈塞栓群で有意に上昇しており、FLRの晩期転移巣増大に関与している可能性が示唆された。ラットの90%門脈結紮モデル、ならびに90% ALPPSモデルを作成・樹立した。以上のモデルを用い、①ALPPS群、②門脈結紮群、③Control群の各群で残存予定肝(右中葉)容積を測定し、経時的変化を検討した結果、72時間でALPPS群がPVL群より有意に上回ることが確認された。FLR組織の肝再生シグナルの発現をコントロール群および90%門脈結紮モデルと比較するとALPPS群ではより早期よりpSTAT3の発現が亢進していることを確認した。さらに、各群の電子顕微鏡所見を比較検討した結果、術後72時間のALPPS群において細胞内小器官の未成熟の状態で、さらに細胆管の形成不全を認め、細胞間の接着も弱く開大しており、組織としても未成熟な状態と考えられた。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
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