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2017 年度 実施状況報告書

膵癌の神経浸潤における神経細胞のオートファジーの役割の解明

研究課題

研究課題/領域番号 16K10597
研究機関九州大学

研究代表者

江上 拓哉  九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (40507787)

研究分担者 宮坂 義浩  九州大学, 大学病院, 助教 (40507795)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード膵癌 / オートファジー / 神経浸潤
研究実績の概要

膵癌が予後不良な原因として神経浸潤による組織学的非切除と後腹膜再発があり、膵癌の神経浸潤機序の詳細な解明が必要である。膵癌においてはオートファジーが発癌を抑制する一方で、確立された膵癌の進展を促進することが知られているが、癌微小環境下における神経細胞のオートファジーの役割は明らかでない。
膵癌の神経浸潤における神経細胞のオートファジーを検討するにあたり、まずは膵星細胞のオートファジーの機序に着目した。既存の化合物であるサリノマイシンはミトコンドリアの過分極によって細胞内活性酸素を上昇させ、細胞増殖抑制、オートファジー亢進に導くと推測されている。このサリノマイシンを膵癌細胞株に投与したところ、膵癌細胞の増殖は抑制され、LC3-IIタンパク上昇、細胞質中LC3の増加、cyto-IDの蛍光強度の上昇などオートファジーの亢進が示唆された。さらにオートファジー抑制後は、サリノマイシン投与による膵癌細胞の増殖抑制効果は増強され膵癌細胞株のサリノマイシン感受性が亢進していることも同定した。さらにオートファジー陽性・陰性細胞の網羅的遺伝子・蛋白発現解析を、マイクロダイセクションで細胞を選択的に採取しそのRNA を抽出して、マイクロアレイによる網羅的発現解析を行ったところ、オートファジー関連の候補遺伝子を複数同定している。このように正常膵星細胞においてはその活性状態とオートファジーの関連性は解明されつつあり、膵癌に隣接する神経細胞と癌細胞の癌間質作用においても類似するオートファジーの役割が存在する可能性がある。

現在までの達成度
現在までの達成度

3: やや遅れている

理由

正常膵星細胞を用いた実験で、膵癌細胞によって正常膵星細胞のオートファジーは亢進し、膵星細胞は活性化へと導かれた。オートファジー活性で分類した細胞についてマイクロアレイによる網羅的解析を行うなど、正常膵星細胞のオートファジーに関する研究は進んでいる。一方で、神経細胞のオートファジー活性の解析については、まだ検討が十分に行えておらず、計画はやや遅れている。

今後の研究の推進方策

オートファジー陽性・陰性細胞の網羅的遺伝子・蛋白発現解析の結果から得られた候補遺伝子について、RNAiもしくはshRNA導入時の膵星細胞の機能的変化やオートファジー活性を検討する。さらに、自然発癌モデルであるKPCマウスを用いて、神経浸潤の程度とオートファジー活性の相関を調べる。また、それぞれにおいて神経細胞周囲の免疫細胞やマクロファージの観察や、増殖や分化に関与する分子の免疫染色を比較検討する。

次年度使用額が生じた理由

神経細胞のオートファジー活性の解析について検討中であり、研究計画に遅れを生じているため。
次年度は研究用試薬、器材、抗体、マイクロアレイ受託解析などに使用する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Pancreatic stellate cells reorganize matrix components and lead pancreatic cancer invasion via the function of Endo1802018

    • 著者名/発表者名
      Koikawa K, Ohuchida K, Takesue S, Ando Y, Kibe S, Nakayama H, Endo S, Abe T, Okumura T, Horioka K, Sada M, Iwamoto C, Moriyama T, Nakata K, Miyasaka Y, Ohuchida R, Manabe T, Ohtsuka T, Nagai E, Mizumoto K, Hashizume M, Nakamura M.
    • 雑誌名

      Cancer Letters

      巻: 412 ページ: 143~154

    • DOI

      10.1016/j.canlet.2017.10.010

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Autophagy inhibition enhances antiproliferative effect of salinomycin in pancreatic cancer cells2017

    • 著者名/発表者名
      Endo Sho、Nakata Kohei、Sagara Akiko、Koikawa Kazuhiro、Ando Yohei、Kibe Shin、Takesue Shin、Nakayama Hiromichi、Abe Toshiya、Okumura Takashi、Moriyama Taiki、Miyasaka Yoshihiro、Ohuchida Kenoki、Ohtsuka Takao、Mizumoto Kazuhiro、Nakamura Masafumi
    • 雑誌名

      Pancreatology

      巻: 17 ページ: 990~996

    • DOI

      10.1016/j.pan.2017.08.009

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Degree of desmoplasia in metastatic lymph node lesions is associated with lesion size and poor prognosis in pancreatic cancer patients2017

    • 著者名/発表者名
      Nakayama H, Ohuchida K, Yoshida M, Miyazaki T, Takesue S, Abe T, Endo S, Koikawa K, Okumura T, Moriyama T, Nakata K, Miyasaka Y, Shirahane K, Manabe T, Ohtsuka T, Toma H, Tominaga Y, Nagai E, Mizumoto K, Oda Y, Nakamura M.
    • 雑誌名

      Oncology Letters

      巻: 14 ページ: 3141~3147

    • DOI

      10.3892/ol.2017.6549

    • 査読あり
  • [学会発表] マウスモデルを用いた膵癌微小転移形成機序の解析2017

    • 著者名/発表者名
      武居晋、大内田研宙、安藤陽平、岐部晋、中山宏道、阿部俊也、肥川和寛、遠藤翔、厳子龍、奥村隆志、仲田興平、森山大樹、宮坂義浩、真鍋達也、大塚隆生、永井英司、水元一博、中村雅史
    • 学会等名
      第117回日本外科学会定期学術集会
  • [学会発表] 脂肪組織由来幹細胞は膵癌における癌関連線維芽細胞の供給源となり腫瘍形成を促進する2017

    • 著者名/発表者名
      肥川和寛、奥村隆志、大内田研宙、岐部晋、森山大樹、仲田興平、宮坂義浩、真鍋達也、大塚隆生、永井英司、水元一博、中村雅史
    • 学会等名
      第48回日本膵臓学会大会
  • [学会発表] オートファジーは膵星細胞の活性化に関与しており、その抑制は膵癌の進展を制御する2017

    • 著者名/発表者名
      仲田興平、遠藤翔、大内田研宙、水元一博、小田義直、橋爪誠、中村雅史
    • 学会等名
      第76回日本癌学会学術総会

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公開日: 2018-12-17  

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