研究実績の概要 |
“ヒトは、動脈とともに老いる;William Osler (1848-1919)” の格言のごとく老化は、血管新生を抑制しまた内皮機能をも低下させ心血管イベントを高率に発症し下肢切断をもたらす致死的な疾患の要因となる。しかし、未だ老化に対する治療法は皆無である。そこで老化に影響を与える遺伝子群の同定・解析・治療への応用は急務である。我々は、平成16年度萌芽研究、平成22~24度基盤研究(C) 、平成25~27度基盤研究(C)によって細胞周期遺伝子BubR1の低下は、老化現象を起こし、血管系においても老化の原因になることを解明してきた。(Matsumoto,et al Stroke 38: 1050-1056, 2007)(Guntani, Matsumoto,et al J Surg Res 170: 143-149, 2011)(Kyuragi, Matsumoto,et al ATVB 35: 341-347, 2015)今回は、BubR1遺伝子の低下が血管新生にどのような影響を与えるかを検討し、その結果を踏まえた老化制御に対する治療法の開発を目指す。BubR1 low expressing mouse(BubRL/L mice)と片方のBubR1 alleleを破壊したマウス( BubR1 hetero knockout mice;BubR1-/+)を交配させ、Low/null BubR1 expressing mutant(BubR1L/-)miceを作製し7回のBack crossを終了し、虚血肢モデルを作製している。野生型マウスでは、下肢虚血モデル作製後14日目では下肢の血行は保たれていたのに対し、BubR1L/-miceでは、高度虚血を認めた。下肢虚血モデル作製後の血管新生因子の解析を行った。
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