研究課題/領域番号 |
16K10927
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
西川 俊昭 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50156048)
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研究分担者 |
木村 哲 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00312702)
合谷木 徹 秋田大学, 医学部, 講師 (30302277)
堀口 剛 秋田大学, 医学部, 准教授 (70221570)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 高次脳機能障害 / 全身麻酔 / 手術 / セボフルラン |
研究実績の概要 |
全身麻酔・手術後高次脳機能障害の主な病態として、全身麻酔薬による神経細胞破壊やアポトーシスの誘導及び脳内炎症がある。本研究では、吸入麻酔薬投与・手術による老齢ラット認知機能障害モデルを用い、麻酔薬の神経毒性防止策(キセノン、α2受容体作動薬、リチウムの投与)の有効性を、認知機能試験、神経細胞の生存率とアポトーシス発現及び脳内炎症性サイトカイン産生で評価し、吸入麻酔薬投与・手術後の認知機能障害の防止策の機序を探ることを目的としている。 平成28年度は、生後20~26週令の老齢ラットを用い、2%セボフルラン麻酔下に開腹し、3分間腸管を用手操作した後の認知機能及び組織学的評価を行う予定であった。 以前の我々の研究で、認知機能評価法としてのモリス水迷路試験は運動能力の低下した老齢ラットにおいては適当でないことが明らかとなったため、新たに八方向放射状迷路試験を導入したが、この方法も麻酔・手術前のトレーニングに長い期間を要するうえにセボフルラン吸入による認知機能の変化を検出できなかったために、評価法としては適当でないと判断した。近年普及してきた新奇物体認識試験(Novel Object Recognition Test)は、報酬や嫌悪刺激といった強化因子を用いない比較的簡便な認知機能試験であるため、予備実験を行ったところ、前に挙げた2つの方法と比較し今回の実験にはより適当であるとの結論に至った。 平成28年度は、以上のように認知機能試験法の選択に時間を要したため、データの収集には至らなかったが、平成29年度は実験プロトコールの詳細を決定し、データ収集を開始する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前述のとおり、認知機能評価に八方向放射状迷路試験を使用する予定であったが、評価前のトレーニングに長い期間を要するうえにセボフルラン吸入による認知機能の変化を検出できなかったために、評価法としては適当でないと判断した。昨年度は、以上のように認知機能試験法の選択に時間を要したため、データの収集には至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、新奇物体認識試験を用いてデータ収集を開始する予定である。ただし、老齢ラットの作成にさらに時間を要するため、今年度は若年ラットを用いていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度は、当初採用するはずだった八方向迷路試験が本研究においては有効でないことが明らかになり、データ収集まで至らなかったため、ラットや消耗品の購入費が当初予定よりも低額となったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は、新たに採用した新奇物体認識試験を用いてデータ収集を行っていく計画であるため、ラットおよび消耗品の購入に充当する予定である。
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