研究課題/領域番号 |
16K10940
|
研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
堤 保夫 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 准教授 (90523499)
|
研究分担者 |
田中 克哉 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 教授 (30263841)
堤 理恵 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 助教 (80510172)
酒井 陽子 徳島大学, 病院, 講師 (90711862)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 高血糖 / 細胞膜マイクロドメイン / 心筋保護作用 / イソフルラン |
研究実績の概要 |
マウスを人工呼吸下に開胸、血行動態を測定しながら、心臓冠動脈を30分間閉塞し、2時間の再潅流を行った(コントロール群)。心臓を取り出し、スライスし、再染色後心筋梗塞サイズを測定した。虚血再潅流前に吸入麻酔薬イソフルラン(1.0 MAC)にて30分間APC刺激を与えた場合、心筋保護作用が認められた(APC群)。また、グルコースを静注することで高血糖マウスモデルを作成し、心筋梗塞サイズを比較検討した(高血糖コントロール群・高血糖APC群)。その結果、高血糖によってAPCの心筋保護作用は消失した。また、心筋梗塞サイズの評価は梗塞域の測定のみならず、心筋のダメージを定量的に示す血漿トロポニン-I濃度も測定し、梗塞サイズの結果を確証すると同様の結果が得られた。 In vitro遊離心室筋細胞を用いた低酸素実験を行った。マウスの摘出心をランゲンドルフ酵素法にて灌流、得られた遊離心室筋細胞をラミニンを用いてディッシュに接着させた。通常培養液(グルコース濃度 5.5 mmol/L)を「グルコースなし」のものに置き換え、特殊チャンバーを用い、1時間低酸素状況 (95%N2, 5%CO2) に暴露することで心室筋細胞に虚血状態をつくりだした。その後1時間通常の培養状態に戻すことで再灌流状態とした。細胞をトリパンブルー染色することで死亡細胞と正常細胞を区別し、生存率を割り出した。APC群では、イソフルラン1.0MACにて30分間刺激を与えることで、生存率がコントロール群に比べ上昇し、APCによるプレコンディショニング作用が明らかになった。同様の実験を高グルコース濃度培養液に一日インキュベートした心室筋細胞において行った場合には細胞生存率は改善せず、APCの心筋保護作用が棄却された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高血糖モデルにおいてAPC刺激による心筋保護作用が抑制されるという結果を得、研究の進捗は順調と思われる。また、交付申請書に記載した「研究実施計画」通りに進捗していることから、おおむね順調と思われる。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き、in vitroの高血糖、遊離単一心筋細胞を用いた研究を行っていく。さらに、ノックアウトマウスを用いた虚血再灌流実験を行うことで、細胞膜マイクロドメインを介するメカニズムについて考察していく。
|