研究課題/領域番号 |
16K11093
|
研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
奈須 家栄 大分大学, 医学部, 教授 (30274757)
|
研究分担者 |
平川 東望子 大分大学, 医学部, 助教 (20516132)
河野 康志 大分大学, 医学部, 准教授 (40274758)
楢原 久司 大分大学, 医学部, 教授 (60211447)
西田 正和 大分大学, 医学部, 講師 (90404384)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | マイクロRNA / 子宮内膜症 / SMARCD1 / MMP1 / 遊走能 / 浸潤能 |
研究実績の概要 |
これまでの研究から、正常子宮内膜間質細胞に比べ、卵巣子宮内膜症性嚢胞間質細胞におけるmiR-100の発現は亢進していることが分かっている。本研究では、卵巣子宮内膜症性嚢胞間質細胞におけるmiR-100の発現亢進の意義について検討した。 子宮筋腫の手術時に、文書による患者の同意を得て正常子宮内膜組織を採取した。さらに正常子宮内膜間質細胞を分離・培養し、ripofectamine法によりmiR-100を強制発現させた。mRNAを抽出し、gene expression microarrayとIngenuity pathway analysisを用いて、miR-100の標的因子群を検索したところ、miR-100-SWI/SNF-related, matrix-associated, actin dependent regulator of chromatin, subfamily d, member 1 (SMARCD1)-matrix metallopeptidase 1 (MMP1)という経路を抽出できた。 miR-100の強制発現により、正常子宮内膜間質細胞のSMARCD1 mRNA及び蛋白の発現は低下し、MMP1 mRNAおよび活性型MMP1の発現は亢進した。次に、予想されるMMP1の機能として、遊走能や浸潤能などの細胞運動を制御することが予想されるため、wound healing assay、invssion assayを行った。miR-100の強制発現により、正常子宮内膜間質細胞の遊走能、浸潤能は亢進した。 子宮内膜症間質細胞におけるmiR-100の発現亢進は、遊走能や浸潤能の亢進をはじめとする子宮内膜症に特徴的な形質の獲得に関与していることが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まず、miR-100の標的因子群について検討した。その結果、miR-100-SWI/SNF-related, matrix-associated, actin dependent regulator of chromatin, subfamily d, member 1 (SMARCD1)-matrix metallopeptidase 1 (MMP1)という経路を抽出できた。 miR-100の強制発現により、正常子宮内膜間質細胞のSMARCD1 mRNA及び蛋白の発現は低下し、MMP1 mRNAおよび活性型MMP1の発現は亢進した。 次に、予想されるMMP1の機能から、遊走能や浸潤能などの細胞運動を制御すると推測した。Wound healing assay、invssion assayを行ったところ、miR-100の強制発現により、正常子宮内膜間質細胞の遊走能、浸潤能は亢進した。 以上のように、当初の計画通りに検討を行い、成果を上げることができている。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでの検討から抽出されたMMP1に着目し、MMP1の阻害薬の治療効果を検討する。
|