研究課題/領域番号 |
16K11349
|
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
猪股 裕紀洋 熊本大学, 医学部附属病院, 非常勤診療医師 (50193628)
|
研究分担者 |
磯野 香織 熊本大学, 医学部附属病院, 非常勤診療医師 (10756258) [辞退]
本田 正樹 熊本大学, 医学部附属病院, 非常勤診療医師 (80573609)
吉井 大貴 熊本大学, 医学部附属病院, 特任助教 (00792582)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 細胆管反応 / SOX9遺伝子 / SOX9ノックアウトマウス / 胆道閉鎖症 / 実験的肝障害 |
研究実績の概要 |
細胆管反応は肝臓の自己複製能力が障害を受けると誘導されるが、そのメカニズムは明確になっていない。障害肝の再生が目的であるとする報告がある一方で、肝線維化の成因とも言われており、肝臓の病態に関わる重要な現象の一つである。我々のこれまでの胆道閉鎖症の肝臓を用いた臨床的研究により、SOX9は細胆管反応に寄与している重要因子の一つであると考えている。平成29年度は、細胆管反応のメカニズムのさらなる解明をめざすため、Cre/loxPシステムを利用して作製したSox9ノックアウトマウスを用いた肝障害実験を行った。SOX9ノックアウトマウスと野生型マウスとを用いて肝障害比較実験を行い、肝障害は、総胆管結紮、0.1% 3,5-diethoxycarbonyl-1,4-dihydrocollidine(DDC)投与、 四塩化炭素投与により、それぞれ解析を行った。胆汁うっ滞性肝障害(総胆管結紮や0.1%DDCによる障害)では、SOX9ノックアウトマウスにおいて細胆管反応の進展が抑制されていることが示唆された一方、肝細胞性肝障害(四塩化炭素による障害)では、明らかな違いは認められなかった。線維化については、ノックアウトマウスにおいて、肝障害の進展に伴う線維化の増加率が抑制されていることが分かった。また、細胆管反応は胆道閉鎖症だけでなく、C型肝硬変、原発性硬化性胆管炎や原発性胆汁性胆管炎でも同様に確認され、またSOX9の肝細胞における異所性発現も確認した。今後、胆道閉鎖症の肝繊維化進展に伴う肝移植至適時期の推定や、その他成人肝障害においても肝障害と再生の総和の指標として予後推定に活かせないかどうかの判断にも資するものとして研究を遂行する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年の熊本地震による動物飼育、総合研究棟や実験室内研究器具の被害により、半年にわたり本研究に関わる動物実験や病理組織学的な検討を行うことができず、また、医局に附帯する実験室の新築移転に伴い使用開始が遅れた。現在、その時の研究の遅れを取り戻すべく実験に取り組んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り、肝前駆細胞集団の特徴解析と、SOX9やTROP2の臨床応用を見すえた実験を行っていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
理由)平成28年4月の熊本地震により、当初研究実施が困難であり、その後の研究棟移転もあり、当初の研究計画が遅れているため。 使用計画)現在、研究の遅れを取り戻すべく実験に取り組んでいる。平成30年度は平成29年度に得られた結果を下に予定の研究計画を進めていく。
|