シェーグレン症候群は、ドライアイ及びドライマウスを主訴とする全身性の自己免疫疾患である。軽く受け取られがちな症状であるものの、QOLの低下や唾液量減少により歯周病や誤嚥性肺炎を招きやすくなるなど弊害も多く、治療法の確立が望まれている。二次性シェーグレン症候群に分類される慢性関節リウマチ等の他の自己免疫疾患との併発例が多くみられるのも特徴であるので、自己免疫疾患罹患者がシェーグレン症候群の症状を呈するのを抑制する効果を期待して、唾液分泌量減少を抑制し、ドライマウス症状緩解効果を有するものの検討を続けている。 Toll様受容体TLR3活性化抑制効果を有する植物成分について、唾液分泌量減少への効果をシェーグレン症候群モデルマウスとして使用実績のあるNOD/ShiJclを用い検討したところ、経年変化による唾液量分泌阻害の抑制効果が観察された。 この効果の作用機序を明らかにするために、唾液腺mRNA発現量を調べたところ、植物成分投与群では水輸送体AQP5の発現量が対照群と比較して優位に増加していた。この効果は、培養細胞を用いたin vitro実験系でも再現された。これらもことから、この植物成分の唾液分泌量への効果は、AQP5の発現量調節によるものと推察された。
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