研究課題
睡眠は心身の健康を維持する上で非常に重要な基盤であり,睡眠障害は精神および身体疾患を総じて増悪させる傾向にある.口腔環境においても同様であり,睡眠障害患者においては歯周疾患の高い罹患率が報告されている.しかしながら,これらは睡眠障害患者を対象として行われた調査が主体であり,一般人口においてはほとんど検討されていなかった.我々は,大規模な被災者健康調査の結果から,歯周疾患と不眠症の罹患とが強く相関することを示した.それらの因果関係については,睡眠障害患者においては歯周病が悪化していることを示す報告は存在する一方で,口腔環境の改善が睡眠の質的向上に繋がるかについては不明である.口腔ケアによる介入は口腔内感染源の除去のみならず,口腔機能やADLの改善に繋がることが報告されている.本研究では介護施設において専門的口腔ケア介入を実施し,口腔衛生状態の改善・維持が睡眠の質的改善に直結することを明らかとし,睡眠障害患者への歯科的介入の有効性を示す.くわえて,歯科医療の社会的意義を高める一助となる.本年度は、腕時計型3次元加速度センサー(アクチグラフ)を介護施設入居者(5名)に装着し、口腔ケア介入前後、もしくは有無の差からその活動度にどのような変化が見られるかについて検討を行った。従来の活動度が低い対象者では、口腔ケア後に傾眠傾向に陥る結果が見られたが、夜間の睡眠量には大きく影響を及ぼしていない感じであった。平成30年度は被験者を更に増やし、介入による効果について明確とすることができ,本研究課題を遂行することができた.
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