現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒト抜去歯より採取した歯乳頭組織、歯根膜、口腔粘膜組織よりRNAを抽出してRT-PCRを行っところ、Nestin, CD44, Slug, Snail, Msx1の発現を認めた。また、組織学的評価では、NestinとCD44の共陽性領域を確認した。したがって、すべての組織には神経堤幹細胞用細胞が存在していることが示唆された。それらの組織から、初代培養を行い、すべてのサンプルから効率よく細胞を得ることに成功した。それらの増殖曲線ならびにコロニー形成能を検討し、それぞれの特徴を見出した。歯乳頭組織由来、歯根膜由来および口腔粘膜由来細胞は、Nestin, CD44共陽性細胞の存在を確認し、これらは間葉系幹細胞マーカーであるCD29, CD73, CD90は陽性、造血細胞マーカーであるCD34, CD45は陰性であった。これらの細胞を、われわれが確立した顎口腔領域の神経堤幹細胞用細胞の分離方法である無血清培地下にb-FGFとEGFを添加させ、浮遊培養するNeurosphare法を用いてSphere形成細胞を得た。3種類の組織由来のSphere形成細胞は細胞形態、Sphere細胞塊は肉眼的には区別することはできなかった。マイクロアレイ解析の結果、それぞれに特徴的な遺伝子の発現を見出した。3種類のSphere形成細胞を神経堤細胞系統である骨芽細胞、脂肪細胞、軟骨細胞、平滑筋細胞および神経細胞系統へと分化誘導し、すべての系統への分化能を確認した。3組織間で発現の異なる遺伝子はそれぞれの組織を決定できる鍵となる可能性があるため、今後これらの遺伝子の発現に関して詳細に検討する予定である。さらに、分化誘導の結果、それぞれの組織において分化しやすい系統があることが判明し、分化能に関しても定量解析を行っていく予定である。
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